MRIとは
MRIは,Magnetic Resonance Imagingの略で,日本語では磁気共鳴画像診断法と呼ばれます.
強い磁界にさらされた原子核が特定の周波数の電波に共鳴して,自ら電波を発生するという核磁気共鳴という現象を利用した画像診断法です.1980年代にMRIが臨床に用いられるようになって以来,その有用住はよく知られています.その利点としては,
1)非侵襲的で,X線被曝がないこと
2)任意の断面が得られること
3)コントラスト分解能が優れていること
4)骨による画像への影響がないこと
などが,挙げられます.
とりわけ整形外科領域,脳外科領域でMRIは有用であり,現在無くてはならない検査法となっています.
MRAとは
MRAは,Magnetic Resonance Abgiographyの略で,MR血管撮影と呼ばれます.
造影剤を使用せずに,MRで血管の画像を描出する方法であり,TOF法とPC法があります.現在では,TOF法が簡便で撮像時間も短い事から一般的に使われています.
MRI装置について
MRI装置は磁場と電波を利用した画像診断装置です.磁場や電波の外への漏れが無いように厳重にシールドした検査室で検査が行われます.
下の写真は,シーメンス社製「マグネトームP8」と呼ばれる0.2テスラ装置です.


MRIの有用な病気
MRIは,様々な方法と方向により撮影しますので,通常3枚〜4枚の写真を作ります.それぞれの撮影に1回3〜8分程度かかりますので,合計で20〜40分程度の検査時間になります.
このように,検査時間が長いため,呼吸や心拍の影響を受けやすい,肺,心臓,胸椎,上腹部などの画像はあまり綺麗ではありません.心電図同期法,呼吸同期法,息止め法による超短時間撮影なども行われています.
脳,頸椎,腰椎,骨盤腔,股関節,膝,足首,手首などはMRIの良い適応となる部位です.
コラム:MRI検査点数の下げについて
2002年4月の保険点数改訂により、MRIの検査料は30%以上の異常ともいえる引き下げに遭いました。MRI検査が盛んになって医療費が増大するために、減額できそうなところから大幅に削ろうという、毎度の厚労省の方法です。患者さんにとっては、安い費用でMRI検査が受けられるようになって良いことずくめのようですが、そうではありません。
もともと日本のMRI検査料はスタート時点からかなり低く設定されており、諸外国の1/3〜1/10程度の値段でした。機械が数億もかかるだけでなく、維持費も年間数百〜数千万円もかかります。スタート時の検査料でも、損益トントンという状態でしたが、いまや当時の半分以下の点数になってしまっており、MRIは導入しても赤字を生み出すだけの機械となっています。
大病院ではMRIは病気の診断のために必要不可欠な機械ですから、トータルで儲けが出れば良いという事で何とか維持しています。しかし、今まで10年以内には機械の更新をしていたのが、さらに数年以上は使うようになり、画像診断の精度は落ちる事になってしまいます。新しくMRIを増やす事は不可能となり、大病院での数ヶ月の待ち時間はさらに長くなると思われます。MRIを気軽に受けるというような事はこれからは不可能になってくると思われ、病気の発見が遅れることが出てくるでしょう。
私のクリニックでは、MRI検査が収益の柱でしたから、打撃は尋常ではありません。MRI画像診断をメインにやっていたクリニックは日本中で数カ所しかありませんから、大局的にはどうでもよい事なのでしょうが、検査をしても赤字が膨らむだけの現状です。まもなく現有のMRIにも寿命がきますし、その時点で残念ですかMRセンターは店をたたむしか無いと思っています。